「臭みの無いセロリ」と「しょっぱいソーセージ」が売れる理由。ブランディングの話。
やっと関東も梅雨が明けたのかな?
今日はブランディングのお話。
食べものの番組でよくあるんだけど例えば、
「セロリなのにあの独特の臭みが全く無い!」。
これらは“食べやすいアピール”だよね。
ただ、セロリ好きの俺からすると、あの独特の香りが好きなわけで、それが無かったらただの水っぽいスジばった草でしかない。
つまり、ターゲットは俺では無い、ってこと。
こういった表現はとても多い。
「ラム肉なのに全く臭みが無い!」「ピーマンなのに苦味が全く無い!」
なら極論言うと、全部無味無臭にして、形だけソレっぽくすればいいってことになる。
あとは雰囲気出してそれなりの説明を付けたらそれで売れる。言い換えれば、それで買う人がいるってことだ。
売れるんならそれに乗った方がアタマがいい。
もう一つ。今度は逆の角度から。
スーパーで売ってる真空パックになってるソーセージ。
名前は忘れたんだけど、大き目のが6本入って700円くらいのやつがある。
見た目アメリカンなパッケージの。知らないかな?
アレたまに買うんだけど、しょっぱくてスパイスも効いてる。
でもビールに合うからウチでフライパンで焼いて食ったりしてる。
で、これの会社の人が言ってたんだけど、
「しょっぱいってクレームが結構来るんです。スパイシー過ぎるとも。」
「でも、好きだと言ってくれる方は、あのしょっぱさが好き、スパイシーさが好きと言ってくれる。だから変える気は無いです。」と。
つまり、売れる理由と売れない理由が一緒。
確かに俺も、あのしょっぱさがあるから買ってるし、あれがマイルドになったら他のでもいいかなってなるかもしれない。
つまり俺は、彼らのターゲットに入っているってことだね。
さてここからだ。
「ウチはどっちでいこうか?」なんて考えるのはまだ早い。
セロリとソーセージ。
一見真逆だが、実はどちらも同じブランディングだ。
セロリは、
味に「クセが無い」という特徴を付けたブランディング。
ソーセージは、
味に「クセ」という特徴を付けたブランディングだ。
これらは、「誰に」「どう売るか」で決まってくる。
セロリは、「セロリ苦手さん」へ「好奇心・トライ」を与えている。
「私セロリ食べられなかったけど、これなら食べられる!美味しい!」なんて目を丸くして言われたら、試してみたくなる。人には好奇心と成長欲求があるから、それを刺激する。
ソーセージは、「ビール好きさん」へ「独自性・安定感」を与える。
「ビールに合うガッツリ味!裏切りませんよ!」と言わんばかり。朝食になんて合わない、ビールですよウチのソーセージは、と。もうビールの時は他のソーセージが買えなくなる。
「誰に」「どう売るか」が先。
作ってから客を探すだと、探してるうちに会社の体力が尽きてしまうかもよ。
なのでまず客。そこにどう売るか。で、商品。
「もう商品できちゃてるよーどうしたら、、」という人もいるだろうけど、それは心配要らない。1から作らなくても今のものを修正すれば大丈夫だ。
一旦、まだ商品が無いものと考え、「誰に」「どう売るか」を考えてみるといい。修正案が導き出せるはず。
最高のルアーを作ったって、プールに投げ込んでも永遠に魚は食いつかない。
魚がいっぱいいるとこに初めて釣り針を投げ入れる。何を釣るかでルアーや餌を変えていく。
人の判断能力は曖昧だ。真実を自分なりに受け止めるのが上手くない。
どうしてもウワサとか宣伝広告で、口に入れる前に既に「美味い!」と言ってしまう。
いつだったかホリエモンが言ってた、「“いいモノ”が売れるんじゃない、“人が知ってるモノ”が売れるんだ」と。
いつだかラーメン店開業のドキュメントで店主が、「“美味いラーメン”か“売れるラーメン”かどっちでいくか迷っている」と。
騙されてる感じで消費者としてはちょっと悔しいとこだが、そうやって操られても得られる満足がそれを消してしまうからOKになる。納得満足。
なら気持ちよく騙してやろう。ウソ無く爽快に騙してやろう。
ここまで書いて今気付いた、
「お兄ちゃん、騙されたと思って食べてみなっ」
昔からよくあるオバちゃんのアレは間違ってないね