実際に商品化されたネーミング&コピーを例に紐解く3つの厳守ルール
ネーミングやコピーには恐ろしい力がある。
中身が同じでも、ネーミングやコピー次第で売れ方が全く違ってしまうから。
以下は俺が仕事をする上で守っている「3つの厳守ルール」。
コピー力を身に付けたい方には役立つ話だ。
①主張すべき部分を見付ける
主張ポイントは当然、まずクライアント側から伝えられてくる。
ただ、俺が実際に商品を見てみて、主張ポイントを変える提案をさせてもらう場合もある。その方が売れるからだ。
この時に気を付けているのは、商品の特性を誰よりも深く理解すること。
本当の良さを見付けて引き出す作業。
そうやってクライアントに提案すると問題は起きず、それどころかクライアントもその方が良いと喜んでくれる。
②「捻り」を控える
「うまいこと言った」感じの言葉遊びになると、表現したいことがブレたり遠回りになって、結局うまく伝わっていない場合が多い。
そうなると作り手側の自己満足でしかなくなる。これは避けなければいけない。
「捻り」を抑えて、サラッとど真ん中を突くことをいつも考えている。
③削ぎ落とす
とにかくいけるところまで削ぎ落とす。
でも「シンプルイズベスト」とは違うのでそこを間違えないようにしたい。
確かに「シンプル」はオシャレ感があるし、パッと見も雰囲気がいいから見た人も受け入れやすい。
「シンプル」にすれば誰でも70点以上のものは作れる。
なのでもし迷ったり自信が無かったら、ごちゃごちゃさせずにシンプルに作ることをオススメする。
で、俺の言う「削ぎ落とす」という作業は、主張したいところを尖らせるため。オシャレ感は全く関係ない。
最初は必要だと思って作ったものも、敢えて不要として削り取ることで主張を強める。
ここで気を付けることは、「せっかく作ったのに勿体無い」という感情を抑えること。
どんなに良いと思ったものでも余裕で捨てられる心持ちでいること。
最大の目的は「売れること」というを忘れずに。
大丈夫、削ったとしても必要になればもっと良いものが必ず沸いてくる。
さて、これらを踏まえて、実際に俺が担当して商品化されたものを例に説明してみる。
以下の2つは、依頼内容も “持っていき方” も似ている直近2案件。
「売れる形にする」という俺のメインの仕事。
具体的な作業としては、「商品名作成」「パッケージデザイン」「コピー作成」「ポップ作成」となる。
両方とも持っていき方のポイントとして「洋→和」を意識して作った。
上述の「3つの厳守ルール」を頭に入れつつ見てほしい。
『最高鮮度ミルクプリン 滴』
4ヶ月ほど前の案件。
商品は牛乳を使ったプリン。これを焼肉屋さんで売る。
このプリンの特徴として、搾乳した牧場でプリンの製造もしているということだ。しかもそれを、作りたて新鮮なものを提供するため、まとめて大量仕入れをせずにできたてを何度も輸送してもらっているというこだわり。
ここを主張したくて「最高鮮度」というコピーを作った。
「新鮮」「できたて」の最上級。そして、真剣勝負してる感じを表現したかった。
「最高○○」はよく見るコピーだが、これを「鮮度」と組み合わせることは無いので目新しくなる。
ネーミングの「滴」も、食品の名前としては使われがちではあるが、プリンで使っているのは見たことがない。これも同様にポイントだ。
“ありがちだけど使われていない” というのは、気をてらった感じにならずに目を引くことができる。
ラベルデザインも余計なことをするのはやめて、真っ直ぐ勝負的なものにした。
あわせてポップもこのように白黒金でアクセントに赤。字は明朝体で真面目感を出した。
売上もかなり良いようで、食後デザートのメイン商品になっているようだ。4月はイベントもあったが月に300個以上売れたらしい。まだまだいきそうだ。
売り切れで食べ損なわないように、行ったら最初に注文しといて確保した方がいいかもしれない。あ、その前にここは飛騨牛の専門店でお肉がメッチャ美味い。
お店はこちら
『百年のお茶屋のアイス 贅沢あいす』
先月の案件。お茶の老舗が作るカップアイス。
まず表現したかったのは、老舗のお茶屋さんが作るってところ。100年以上の歴史ある茶園さんなのでそこを出したかった。
なので、「百年のお茶屋のアイス」というコピーを作った。
ポイントは「百年の歴史あるお茶屋が作ったアイス」としなかったところ。
削ることでインパクトを上げている。削った「歴史ある」「作った」は読んだ人が勝手に解釈してくれる。
そして「百年のお茶屋」という、敢えて日本語としてちょっとおかしくしているところ。実はここもインパクトとなっている。
あとはアイスに使用するお茶はこちらの自社茶園、自社工場で製造・販売している高級品質のもの。それをパウダーにして練りこんでいる。見えないから手を抜くなんてことは絶対しない姿勢。
ここはネーミングに反映させた。ストレートに「贅沢」と和の感じを出すために「あいす」とした。
これは「百年の~」と組み合わさった相乗効果で高級感重厚感を出せている。
ちなみに、「手を抜かない~」をあまり主張するとイヤらしくなってしまうので気を付けて。「手を抜かないなんて当然だろ!」と言われてしまうので。
カップのデザインは、それぞれの色みを和柄パターンとの組み合わせ、字は明朝体で字間をやや広めて落ち着いた雰囲気を出した。
ポップは深みを出すために、混ぜ合わせた濃い色や、微妙なグラデーション。あとは薄く和柄のパターンを入れてある。
このアイスは今月から販売開始。まだ店頭販売とホームページで告知のみなので、初月で100個も売れればいいかと思っていたが、販売開始一週間で80個売れたと連絡が来た。全然告知してないわりには上々だ。今後はBtoBの営業にも動いていってもらう。
美味しいお茶を使っているのがわかる味。抹茶や焙じ茶のほろ苦さがちゃんと出ていてかなり美味い。「子供に食べさせるのは勿体無い」と言いたくなってしまう深みある高貴さを感じるアイス。なかなか無い味わいだ。
こちらのお茶屋さん
商品を表現する場合、当然のことだが嘘は書けない。
ただ、商品力が特別じゃなくても、普通レベルであればネーミングやコピーで売ることは可能でもある。
でもそうは言っても、まずその商品を理解し、作り手すら感じていない長所や特徴を見つけ出して、商品名やコピーにうまく乗せていきたい。
以上。長くなった。
こうやってブログに書いたら、クライアントの売上に少しでも貢献できるかなと思うし、読者のネーミング&コピー製作の手助けもできて、更には「古屋ってこういう仕事ができる」と知ってもらえたと思うと、WIN&WIN&WINなブログになったかなとちょっと自己満足してる。
人脈不足に悩む人へ。名刺は不要。その代わりに必要なものがある。
「フェイスブックで友達1000人います」みたいな時代だ。
そんなの友達って言えるのかよ!?なんて思う俺は完全に時代遅れ。
初めはあまり知らない薄い繋がりでも、ネットを介して仲を深めることがごく普通に受け入れられている。
新しい友達の形なのかもしれない。よく見ればかなり効率的だし。
そんな現代社会において、これから話すことはそれほど参考にならないかも。
でも聞いといて損はない。俺は今も実践していて、得ているものも大きいから。
5分で読破できるので。
「異文化交流会」ってご存知だろうか?
その名の通り、いろんな業種の人が集まって交流する会。
どこかの企業(保険屋さんとか)が企画して、多い場合は数百人なんて会もある。人脈を増やすチャンスの場だ。
しかし俺は基本的に、こういった異文化交流会には全くいかない。
人に会うのは好きなんだが、ちゃんとした会はとても苦手。かしこまった感じがムズムズしちゃう。
あとフォーマルな格好もダメだ。ネクタイなんて冠婚葬祭でしかしない。
だからもし行ったとしても、出ている食事を食べ放題ビュッフェ感覚で食いまくる。
「一食浮いたぜ、ゲプッ」って感じで。
で、ぶっちゃけ2回しか行ったことがない。10年で2回。
「2回しか行ったことがないヤツが語るなよ」って話だが、それなりに役立ちそうな出来事があったので。
参加者300人くらいの交流会で、ビュッフェをかき込んでいる俺に話しかけてきた人がいた。50代くらいの男性。
こんな俺に話しかけてくるなんてモノ好きな人だ(でも嬉しい)と思った。
「君、名刺交換全然してないね笑」
お前は何しに来たんだよ笑といった顔でビールを注いでくれた。
「僕こういうの苦手なんですよ」と言うと、
「まあね、俺も苦手なんだけど一応こんなのも仕事だからね」と。
話したら某電子機器メーカーの役員の方だった。
で、仕事の話はたいしてしなかったんだけど、その方の息子さんの話とか趣味の話とかを色々聞いた。
そしたら、このあと飲みに行こうということになって、そのまま銀座にタクシーで直行した。
銀座のスナックで乾杯したところで初めて名刺を交換した。
また色々話して、2軒目はクラブに行って飲み過ぎてヘロヘロになって帰った。
翌日は、スナックの途中あたりから何を話したか全然覚えていなかった。
一応、名刺をいただいていたので、お礼のメールだけしておいた。
それから数日後、その方から仕事依頼の連絡をもらった。
仕事の話なんてたいしてした覚えは無いのにどうなってんだ??と思ったが、後日その方の会社にお伺いした。
すると、その方の会社のクライアントさんを紹介していただけるとのことだった。
どうやらその方、自分の会社では俺の仕事がかかわるのは難しと思い、自分のクライアントから合いそうなところを探してくれたらしい。
なんだかキツネにつままれた気持ちだった。何でそうなるの!?と。
不思議だったので一応その辺も聞いてみた。なぜ俺にそんなに良くしてくれるの?と。
そしたらこう言われた。
「あの日一日で名刺を交換したのは多分100人くらいだった。でも、あの日一日で俺を信用させたのは君一人だった」と。
「映画のセリフみたいっすね笑」と言ったら、
「マネしてないよ、俺の言葉だから笑」と笑っていた。
異文化交流会の振る舞いとしては間違っている(呼んでくれた方すいません)けど、人との交流ってこういうことだと思った。
逆の立場でも、名刺と挨拶だけの間柄で仕事お願いしたりはしないなって。
大事なのは連絡先を手に入れることではない。
まずは相手とちゃんと向き合い、知り合うことだ。で、仲良くなれたら最高。
当たり前のことなんだけどね。
これってプライベートでも言える。
連絡先をたくさん集めることよりも、
会った最初に “いかに相手との距離を縮められるか、壁を取り払えるか” 、だと。
ビジネスだから損得優先て考えも当然あるんだけど、できれば仲良くなった方と仕事がしたい。
もっと言えば、仲良くなった人と何か仕事がしたいって想いから、新たに事業を作るくらいになりたい。
仲良くなるってことは、
一緒にハッピーになりたい相手を見付けられたってことだ。
テレビに出ていた社長に「こんな○○なヤツいない」と笑われたけど本のコラムを書かせてもらうことになった話
ウチにある本を整理していたら懐かしいのが出てきた。
『伝説の就活ゴールド』
俺が初めてコラムを書かせていただいた思い出の本。
書かせてもらうことになったその経緯がちょっと役に立ちそうなので、順を追って思い出して書いてみる。
①出会い(テレビだけど)
独立して1年も経ってない頃。俺33歳。
今でこそ「経営コンサル」や「クリエイティブディレクター」などと名乗っているが、
起業当初は「就活生の支援」と「企業の採用アドバイザー」としてやっていた。
そもそも起業の動機が、「人が活き活きと働ける社会を作れば経済的にも心も幸せになれるだろう」との想いからだった。
ある日ウチでテレビを観ていたら、就活支援ビジネスをされている社長が出ていた。
社名もずばり、「株式会社就職課」。
テレビでお話しされていたのはその社長、内田雅章さんだった。
②メールしてみた
「俺もそう思うんです!」と勝手に熱く共感した俺は、居ても立ってもいられず、ネットで調べてソッコーでメールした。
「僕も同じ想いで独立しました。是非直接お話しお聞かせください!」みたいな文章に、自分のホームページのURLを載せてメールをした。
お昼にテレビで観てメールして、16時くらいに秘書らしき方から電話がきた。
社長が会いにおいでと言っていると。
で、翌日11時に訪問させてもらうことになった。
トントン拍子に面会の約束にたどり着いた。
③お会いする準備
で、その電話を切ってから俺はモーレツに行動した。
なんせ勢いでメールしたんで、たいしてその会社のことも社長のことも俺は知らなかった。
まず先方のホームページを隅から隅まで見まくった。
そしたら社長が本をたくさん出されてることを知ったので本屋にぶっ飛んだ。
4軒まわって3冊手に入れて、ウチに戻って全部読んだ。
そしたら社長がミネラルウォーターが好きで、色んなのを買って飲んでいるとあった。
その時すでに深夜だったけど、ミネラルウォーターを買いにまた走った。
見たことも無い珍しいミネラルウォーターを手土産にしたら面白いと思って。
コンビニには珍しいのが無かったから、車で色んな店を回ったのを覚えてる。
深夜だったんで閉まっている店も多くて、結構遠くまで行った。
で、いくつか手に入れて、次の日も朝2軒ほど探しに行った。
それをウチを出るギリギリまで冷蔵庫で冷やしといた。
④面会
銀座のオフィスに着いて、応接室に案内された。
そして内田社長が登場した。(笑顔が輝いてる!)が第一印象。
どこの誰かもわからない俺を、満面の笑みで迎えてくださった。
で、会ってすぐ、用意したミネラルウォーターを渡した。
社長も知らない銘柄もあったらしく、「なんだよこの水あやしいな笑」と笑われた。
「水持ってくるヤツなんて初めてだよ。普通持って来る!?笑」と。
そして、昨日テレビで観てからの行動を聞かれたので全部お話しした。
「テレビ観てすぐ連絡してくるヤツなんていないよ。いそうで全然いないんだ。」
「それで本読んで水買ってきて、、こんな行動しちゃうヤツいないでしょ!?笑」と。
⑤コラムを書かせてもらうことに
その後、今やっている活動をお話しさせてもらった。
すると社長は、「ねえコラム書いてよ」と言い、俺の返事も待たずにどこかに電話。
どうやら出版社の編集担当のようだった。
「まだ間に合うでしょ?一つ入れてよ」みたいな話をされていた。
どうやら既に出来がっていた原稿に、無理矢理コラムを突っ込んでくれるようお願いしてくれていた。
「明日の午前中までに書いてメールで送って。1000字くらいで。」と。
本にコラムなんて初めてだったのでちょっと緊張したけどメチャクチャ嬉しかった。
お礼を言って、早々に帰ろうとすると、「何もう帰ろうとしてるの?」と。
「いや、もう帰ってコラムを書きたいんです。」と伝えると、
「君ホント頭おかしいよね笑!最高じゃん」と。
⑥執筆
ウチに帰ってコラムを書き始めた。
1000字って結構短くて、まとめるのが大変だったけど、結局3つコラムを書いた。
ホントは1つで良かったんだけど、違う内容のものを3つ書いて、どれを載せるかは先方に選んでもらおうと思ったからだ。
メールを送る時間ギリギリまで何度も読み直して書き直した。
文章力も無かったし、試しに人に読んでもらう時間なんかも無かったんで。
で、送ると返事が来て、本のテイストに一番合ったものを1つ選んでくれた。
内容もそのままで、タイトルだけ少し変えさせてくれとのことだった。
こうして俺のコラムが本に掲載されることとなった。
で、できあがったのがさっきの『伝説の就活ゴールド』。
これが、俺が初めて本のコラムを書かせてもらうまでのドタバタ劇。
その後も内田社長にはちょいちょいお仕事をいただいた。
独立したばかりでたいした仕事もなかったから本当に有難かったし、
やったこともない新しい仕事にチャレンジさせてくださって、今でもとても感謝している。
調べたら株式会社就職課はもう無くなっちゃってるようだけど、内田社長はコンサルタントとしてご活躍だった。
行動って大事。
チャンスを生み出すから。
でも口で言うのは簡単なんだけど、やっぱ動けないことは多い。
俺もある。
だからそういう場合はいつも、この時のことを思い出して動かなかった自分を叱る。